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機動戦士ガンダム0083 5.1ch版の聴きどころを今西隆志監督に聞いた!

『0083 5.1ch DVD-BOX』のサウンドは、オリジナルのイメージを活かしつつも、まったく新しいサウンドに生まれ変わっている。独立した6本のスピーカーによって実現される5.1chサウンドは、今まで体験したことのない、まさに「体感」の超ド迫力サウンドに仕上がっているのだ。この新たな『0083 5.1ch DVD-BOX』の聴きどころを、最終話作業中の今西隆志監督に聞いた。

第1話「ガンダム強奪」
 やっぱり前半のモビルスーツ戦のところですね。後半の話数の大どんちゃん騒ぎに比べるとシンプルなんだけど、シンプルだけに音が立つ。オーソドックスなモビルスーツの初顔見せのところは、5.1ch用の細かな調整を時間をかけてやりました。

第2話「終わりなき追撃」
 奪われたガンダム2号機を追って、霧の中の乱戦になるところでは、音が右に行ったり、左に行ったりします。「霧」っていう状況の中、映像としては画がちゃんと見えないところで、音がきちんと聴こえてくるところの不思議な雰囲気を感じてもらえればいいですね。

第3話「出撃アルビオン」
 アルビオンの発進シーンですね。夕陽の中、アルビオンが上昇するところがいいんですよ。アルビオンが飛び立っていくところは、力強く上昇していかないと今後の話の展開が期待できないという象徴的なシーンなのですが、かなりの迫力で力強く飛び立ってます。

第4話「熱砂の攻防戦」
 4話は冒頭のハエです(笑)。あれはスタッフも驚いたんです。最初からそういうハエの音を入れていたんだけど、音響効果チームがすごくがんばって作ってくれて、ハエが飛んでいるところがちゃんと分かるんです。一番のお勧めサウンドと言うにはちょっと変なんですが、これも5.1chならではですね。いかにも<アフリカ>という感じが出ています(笑)

第5話「ガンダム、星の海へ」
 やっぱりデラーズの宣言の中、飛び回るゲルググですね。デラーズの宣言はあざとくなるんで、音的にはあまり右や左に位相を振り回していません。デラーズというのは威厳がないといけないんで、宣言は落ち着いた声で広がりはあるんですけど、5.1chで右や左に振る面白さはあまりないし、やらないほうがいい。その安定した宣言の中で、ゲルググの部隊がビュ~ンとか行くのが面白いです。各シーンの環境音についても広い空間、狭い空間、色々あるんですが、空間的な広がりに応じて音の設計も変えています。ここでは、そうしたことが良く分かります。

第6話「フォン・ブラウンの戦士」
 6話は最後にフルバーニアンになった1号機が飛びたちますが、日常的なシーンが中心のアクションが少ない話数です。ここではそうした日常の音、食堂のシーンとか、床に転がるヘルメットの音、ラトーラの足音とか、ジャンク屋の雰囲気なんかを聴いて欲しいですね。酒場のシーンでも、バニング大尉がどちらに逃げるのか、ちゃんと音が振られて方向が出ています(笑)。5.1chではメカアクションや戦闘だけでなくて、こうした日常的なガヤの部分もぜひ聴いて欲しいですね。

第7話「蒼く輝く炎で」
 7話では、ヴァル・ヴァロ対フルバーニアンの戦闘ですね。右や左にどんどん動いていくというよりは1対1の対決なので、やっぱりビームの存在感が際立つ話数です。特にヴァル・ヴァロの撃った響くようなビームの音は、5.1ch、ウーハーならではの音ですね。そうしたビームの音も、音響効果のスタッフが苦労して迫力あるものを作ってくれました。普通、1対1の対決というのは、もっとシンプルなんですが、バカな戦いだと思うくらいヴァル・ヴァロが強そうになっています。

第8話「策謀の宙域」
 バニングが死ぬきっかけとなった、シーマのゲルググが目の前に突然現れてジム・カスタムに向かってバラバラバラバラと撃つところは、迫力が出ています。8話の中ではあそこが一番、音的にはいいシーンですね。撃たれてどこか壊れているな、というのが感じられます。

第9話「ソロモンの悪夢」
 観艦式で艦隊が揃って進んでいくところとか、最後の核爆発とか聴きどころはいろいろありますが、音的な広がりでは2号機の暗礁宙域の移動感です。暗礁のあるところを2号機がかいくぐっていくところは、音の移動感を楽しめると思います。長い道程を経て、ソロモンにガトーが帰ってきたことを実感できますよ。

第10話「激突戦域」
 10話は、1号機対2号機のビームサーベルの斬り合い、チャンバラです。5.1chでチャンバラの頭からお尻まで、これまでのステレオに比べて圧倒的です。でもその代わり、とっても疲れるかもしれないです(笑)。それくらい、凄い迫力です。10話は5.1chになって、すごく良くなりました。やっぱりアップが多くてガンガン斬り付けるというのは、音に凄みがでると迫力が出ますね。

第11話「ラビアンローズ」
 ここでは3号機の登場シーンですね。3号機の格納庫ってけっこう広いんですけど、その広い格納庫に3号機がただ突っ立っている。その3号機が「これがそうよっ!」ていう感じでライトアップされるわけです。この、ちゃんとライトアップされたところの「います!」っていう効果音が、とっても好きなんですよ(笑)。よくある「ガ~ン」とかいう音よりも、もうちょっとオカルト的なんです(笑)。「ドス~ン」という感じで無気味さとかも出ているし、広がりもいいです。怪我の巧妙的な部分もあるんですけど、本当にここは好きですね。

第12話「強襲、阻止限界点」
 最初から最後まで乱戦、混戦という話数で、とにかくいろんな音が交錯しています。そんな中で、二つ以上の音が同時に鳴ったら演出としてどっちかを聴かせるか、聴かせたいかという点に注意をはらいました。全てそうなんですけどね。そういう意味でいうと、やっぱり阻止限界点を越えて進み始めたコロニーの地響きですね。コロニーも音響効果的にはとても重なった構造を持っているんですよ。あの重量感たるや、圧巻です。

第13話「駆け抜ける嵐」
 ソーラシステム2のコントロールルーム内のシーンも広がりはあるし、ガトーが撃たれる拳銃の音も良くなっています。でも臨場感ということでは、ジャブローから見た落下してくる「白熱したコロニー」の音ですね。想像通りに良くなったな、と感じました。やっぱりステレオでは表現し切れない音の効果もあるんです。この白熱したコロニーの音は好きですね。

<最後に>
5.1chのサウンドは、対応したシステムを持っていなければ聴けません。だから持っていないから買わない……違います。システムを買ってでも聴く!(笑) プレーヤーがミックスするステレオで聴いても、もったいないですよ。ぜひフルレンジで調整して聴いてください。隣近所に聴かせる勢いで(笑)。そして、東京のあちこちで、いや日本のあちこちで、コロニーの落ちる音を響かせる、と。全国で一体何発のコロニーが落ちたんだろう、と(笑)。

いかがでしたか?なかなか言葉では伝えづらい5.1ch版ですが、ほとんどのキャラクターをオリジナルキャストによって新アフレコし、オリジナルのイメージをさらにふくらませて紡ぎ出された新たなサウンドをお楽しみに!もちろん5.1chのシステムがないユーザーも、自動的にステレオにダウンミックスされた新サウンドを楽しむことができますが、やっぱり5.1chフルレンジで本当の迫力を体感してくださいね!